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​意見表明
提言

「大学教員の基本的な教育職能の基準枠組」

2019年7月21日 日本高等教育開発協会 作成

Ⅰ.「大学教員の基本的な教育職能の基準枠組」とは

 この「大学教員の基本的な教育職能の基準枠組み(以下、基準枠組)」は、大学教員が身につけていることが望まれる基本的な教育職能の目安です*1。「FDプログラムの構築支援とFDerの能力開発に関する研究」(平成20~22年度、国立教育政策研究所)の一環として作成された「新任教員研修のための基準枠組」をもとに、大学教員の教育職能開発及び大学におけるFDを支援するためのツールとして、2019年に作成されました。

 

 なぜ、「教育職能の基準枠組」なのか。その作成の目的が、第一に、大学教員をはじめとする大学における教育職の自律的な教育職能開発や、その能力証明を支援することにあることから、「教育職能の基準枠組」としました*2。この枠組に提示されていることを、どこまで、どのくらい深く教員が必要とするのか、大学が求めるのかは、それぞれの置かれている状況によって異なってきます。そのことは、何(例えば、行動目標)をもって理解していると評価するかにも関わってきます。「枠組」という抽象的な形式である所以は、そうした具体的なレベルの目標/意図する学習成果、及びそれらに整合性のある評価等については、それぞれの状況に応じて設定する自律性の尊重を、教員及び大学に保証することにあります。

 

Ⅱ.基準枠組のポリシー

 基準枠組は、大学教員の教育職能開発について

  • 大学における教育の質の一貫性、公共性を保持し、

  • 各所属機関の文脈、現場の状況に即して、

  • 大学教員各自の自律性、発展性を尊重し、引き出して支援するためのものです。

 なお、Ⅰの「なぜ、『教育職能の基準枠組』なのか」の説明にもあるように、通常の能力基準による、教員個人や現場の状況にそぐわない、教員の自律性・自発性が保証されないなどのデメリットを軽減するため、教育職能の観点のみを示した「枠組」という形式が採用されました。この「枠組」の考え方を含め、ここに掲げたポリシーは、「新任教員研修のための基準枠組」のポリシーを継承しています。

 

 

Ⅲ.基準枠組の活用

 基準枠組は、大学教員が自らの教育職能を証明したり、継続的な教育職能開発の計画を立てたり、各機関が教育職能開発の機会、例えば新任教員研修などを企画実施する際の目安として役立ちます。その際、この目安をどのように用いるかという方針や、領域及び教育職能の例のどこに重点をおいて開発するかなどは、各教員や各所属機関の目的や状況に合わせて、当事者が決定します。同時に、各機関が実施する教育職能開発のプログラム(FDプログラム)の認証を行うなどの場合、その認証基準として用いることも可能です。

 基準枠組は、教育職能開発及びその支援を行う際の参考のツールであり、各教員や各機関の自律的な活動を支援するためのものです。

*1 プログラム認証のスキームにおいては、この枠組はプログラムの学習成果の質を評価するための目安となります。なお、プログラムをどのように大学内に位置づけ運営しているのかについての評価基準については、申請書の記述項目に反映されています。

*2 この基準枠組を用いて行われるプログラム認証等の活動の目的は、もちろんFDプログラムの質の保証にもありますが、第一には、認証されたプログラムの修了をもって、教員が自分の能力証明をできるようになることであり、そうした教員により組織された大学の教育の質の保証を支援することにあります。

 

 

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​​基準枠組の新旧対応表

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FDプログラム認証手順

2019年7月21日 日本高等教育開発協会 作成  

   1.   申請希望の機関(以下、申請担当者)は、日本高等教育開発協会(以下、JAED)事務局に相談のためのコンタクトをとる。

   2.   申請担当者は、登録フォーム(機関についての基本情報)に必要事項を記載し,JAEDに送る。

   3.   JAED事務局が,認証担当のメンター(以下、担当のメンター)と申請評価担当の評価者(以下、評価者)とアポイントをとる。

   4.   担当のメンターが申請担当者にコンタクトをとる。担当のメンターは必要な申請書類の作成を支援する。  担当のメンターは、経過をJAED事務局および評価者と共有する。この時点で、プログラム内容や機関の体制に改善が必要であれば対応する。

   5.   申請書類が揃った場合、評価者が申請機関を訪問し(回数は必要に応じて異なる)、関係者からヒアリングを行う。評価者は、ヒアリング結果をJAED内の認証委員会に報告する。

   6.   JAED内の認証委員会が、FDプログラム認証結果を承認する。

 

注意事項:

  • 全認証プロセスはメンタリングを含め,通常2年以内で行う。

  • 認証の有効期限は,通常5年間である。必要に応じて、5年ごとの再評価を行う。

  • 通常,認証されたプログラムを修了した個人は共通の能力証明(資格)を授与される。

下記よりダウンロードいただけます。​

                                     認証シート         枠組説明文            枠組図

                                          ↓                      ↓                     ↓

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