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2026年度 第3回JAED研究会(実践編)実施報告

 日本高等教育開発協会では2026年度中に3回の研究会(研究編/実践編/リトリート編)を計画しています。そして、2026年9月5-6日(土・日)に第3回研究会(リトリート編)を金沢市にて開催いたしました。本会は、高等教育開発に関する個々の研究・実践力を高め、高等教育開発者同士の交流を促進することを目的としています。当日は6名が参加しました。
 1日目は、Holistic Academic Development(HAD)に関する研究の進捗報告として、「HADに関する問題意識・先行研究の整理・課題設定」(杉森公一)、「センター等規程調査の結果報告」(竹中喜一)、「高等教育開発者インタビュー調査の結果報告」(吉田博)の発表とそれに関するディスカッションがありました。教育開発に関する世界と日本の現状を整理しながら、そもそも包括的な教育開発とはいかなるものであるのか、包括的であることが果たして良いことなのか、大学という組織とディベロッパーとしての個人はこの枠組みをどのように捉え、今後にどのように生かしていくべきなのかといった本質的な議論が展開されました。夜の部では、竹中会長の旧友の和食店にて能登のおいしい魚と酒を大いにいただいて交流し、さらにはジャズバーにて音楽を楽しみながら、ゆったりとした時間を過ごしました。
 2日目は、リトリートセッションとして、10時~17時まで、各々が考えたいことについてじっくりと思索をめぐらせ、希望に合わせて相互に相談し合う時間でした。具体的には以下のような時間の使われ方がされていました。

<研究に関すること>

・データ分析と文章作成を進めることができた。

・自分が取り組んでいる研究の論文の章立てを考え、意見をもらうことができた。

・学会の発表要旨原稿の執筆をひたすらやりました。帰りの新幹線でA先生と同じ車両になったので、追加のアドバイジングもお願いできよかったです。

・ラウンドテーブルの企画案を作成できた。

<実践に関すること>

・共通教育における学びの統合の指標について参加者に相談しながらベースの考え方を整理した

・参加者に他大の実態を伺いながらオンデマンド授業のガイドラインと評価の仕組みを検討した

・FDセミナー企画に向けたDPに基づくカリキュラムアセスメントと教育ビジョンの関係の再整理について参加者の助言を得た。

(終了後アンケート結果を一部修正して引用)

​ 2日間の終了時の振り返りでは、「時間がもっとほしかった」と語る参加者もあり、次年度はさらに時間を拡充して企画したいと考えています。アンケート結果では「大変満足」が100%(回答率100%)となり、以下のような感想が寄せられました。

・ゆっくり研究と向き合う時間が取れた
・最初から最後まで参加者のみなさまとたくさん交流し、集中して作業もできた。

・今取り組んでいる研究について相談でき、アドバイスもいただけた。美味しい料理やお酒をいただくことができた。家族と離れて一人になることができた。
・主催および参加者の専門的知見や実務経験が豊富なため、ゾーンタイムの作業過程でピンポイントの相談もでき、ゾーンタイムでの個人作業の質・効率ともに高めることができるとてもありがたい貴重な機会だと思っています。
・気心の知れたメンバーであったことも良かったですが(新しいメンバーもぜひ参加してもらいたいですが)、1日目の発表も考えたくなる点が多くあり興味深かったです。2日目のリトリートは、原稿締切が迫っていましたが、集中して取り組むことができ充実した2日間でした。金沢のご飯もとても美味しく、英気を養うことができました。

 

 ご参加いただいたみなさん、ありがとうございました。
 次回は、2027年8月7日~8日(土・日)に高知市にて開催予定です。参加を希望いただける方は、是非スケジュールに入れておいてください。また元気な姿でお会いできますことを楽しみにしています。

 


 

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2026年度 第2回JAED研究会(実践編)実施報告

 日本高等教育開発協会では2026年度中に3回の研究会(研究編/実践編/リトリート編)を計画しています。そして、2026年7月24日(金)13時半~15時半に第2回研究会(研究編)をオンラインにて開催いたしました。当日は16名の参加者(正会員10名、準会員4名、学生会員1名、非会員1名)でした。第1部「報告セッション」、第2部「対話セッション」という2部構成で進行しました。報告内容は以下の通りです。

・報告1:「徳島大学におけるネットワーキングとコミュニティ開発」(吉田博)

・報告2:「SDASモデルの検証―ミドルレベル教育開発の実践―」(西野毅朗)

・報告3:「ファカルティ・ラーニング・コミュニティ(FLC)実装の試み」(杉森公一)

 対話セッションでは、「高等教育開発研究とはいかなるものか」と「これからの高等教育開発研究を考える」の2つのテーマについて、ブレイクアウトルームで議論し、全体で共有しました。以下は、各テーマに関するルーム別の議事録を生成AIを用いて要約し、筆者が内容を確認、修正したものです。

 テーマ1】学内におけるネットワーキングとコミュニティ開発法

 ダイアローグ1では、学内のネットワークやコミュニティは、制度的に設置するだけでなく、日常的な対話や信頼関係を積み重ねることで形成されることが共通して指摘されました。全学FDや研修、オープンキャンパス、カリキュラム作成、出張講義などの公式な機会は、普段接点の少ない教員同士や、学部・学科と大学執行部をつなぐ契機になります。特に、所属や世代の異なる教員を混ぜたグループワークは、情報やアイデアを共有し、新たな関係をつくるうえで有効です。

 一方、実際のネットワーク形成には、挨拶や雑談、授業・学生についての何気ない会話といった非公式な交流も重要です。こうした日常的な関係づくりが、困ったときに相談できる心理的に安全な環境づくりにつながります。また、情報を持つ人が他者同士を結び付ける「仲介者」としての役割を果たしている事例も示されました。

 課題としては、教育開発センターなど全学組織の教員が学部・学科のコミュニティに入り込む難しさが挙げられています。授業改善について同じ内容を伝えても、既存の信頼関係の有無によって受け止められ方が異なるため、学部内の協力者を得ることや、学科FD、教授会、出張講義などを足掛かりに継続的に関係を築く必要があります。

 また、自発的に立ち上げたコミュニティには、安全に話せる場としてのニーズがあるものの、運営者の多忙化によって活動が停滞しやすい。主催者個人に依存せず、どのように継続可能な仕組みにするかも課題として示されました。

 【テーマ2】今後のネットワーキングとコミュニティ開発の課題と解決策

 ダイアローグ2では、コミュニティを一時的な交流で終わらせず、持続・自走させるための条件と具体策が議論されました。

 まず、コミュニティには、参加者が気軽に集まれる物理的・心理的な「場」が必要です。「そこに行けば誰かがいる」と感じられるセンターのスペースやサテライト室、お茶菓子を用意した対面交流などが、偶発的な出会いや相談を促します。分散キャンパスの場合にも、歩いて立ち寄れる場所や、オンライン・オフィスアワー、共同オフィスアワーなど、カジュアルな接点を意図的につくることができます。採用時期が異なる新任教職員に継続的なFD機会を提供するため、相互メンタリングやフォローアップセッション、放課後学習会などを組み合わせることも考えらます。単に「集まる」だけでは活動が消滅しやすいため、コミュニティの目的や目標を明確にすることが重要です。

 運営面では、教員個人の熱意だけに依存すると自走が難しいため、職員による業務のルーティン化や運営支援が重要になります。ただし、職員側にも業務負担があることから、FD担当者が職員業務の一部を支援し、相互に協力できる関係を構築することが解決策として示されました。資金の獲得も、活動の実施だけでなく、運営者のモチベーションや活動の正当性を支える要素になります。

 情報発信については、ニュースレターが事務連絡中心になりやすいため、イベント報告や実践事例を盛り込むなど構成を工夫する必要があります。ポッドキャストや事例報告会、そのスピンオフ企画など、多様な媒体・形式を用いることも提案されました。

 最終的には、大学や担当ディベロッパーの特性に応じて、公式・非公式、単発・継続、対面・オンラインを柔軟に組み合わせることが、持続的なコミュニティ形成に必要であると整理できます。

最後まで残った14名で記念撮影

 

<参加者アンケートより(一部抜粋)>

・「発表も3大学の事例があり、参考になるところや、新しいアイデアを喚起させられました。議論も少人数でしっかり話すことができ良かったです。」

・「ネットワーキングとコミュニティ開発というテーマは個人的にも大学としても大きな課題でしたので、最先端の実践の知識を得られたこと、また先生方と経験を分かち合えたことは貴重でした。」

・「自分のコミュニティへの関りや今後の方向性を再整理できました。」

 

次回、第3回JAED研究会(リトリート編)は、9月5-6日に対面@金沢にて開催します。奮ってご参加ください。

 

 

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2026年度 第1回JAED研究会(実践編)実施報告

 日本高等教育開発協会では2026年度中に3回の研究会(研究編/実践編/リトリート編)を計画しています。そして、2026年5月15日(金)15時~17時に第1回研究会(研究編)をオンラインにて開催いたしました。当日は19名の参加者(正会員13名、準会員4名、学生会員1名、非会員1名)でした。第1部「報告セッション」、第2部「対話セッション」という2部構成で進行しました。報告内容は以下の通りであり、会員限定ページにてアーカイブしています。

 ・報告1:「『高等教育開発』第1~5号投稿論文の傾向」(吉田博)

 ・報告2:「博士研究としての高等教育開発」(山咲博昭)

 ・報告3:「実践を研究化する高等教育開発」(多田泰紘)

 対話セッションでは、「高等教育開発研究とはいかなるものか」と「これからの高等教育開発研究を考える」の2つのテーマについて、ブレイクアウトルームで議論し、全体で共有しました。以下は、各テーマに関するルーム別の議事録を生成AIを用いて要約し、筆者が内容を確認、修正したものです。

 

【テーマ1】高等教育開発研究とはいかなるものか

 高等教育開発研究とは、高等教育をよりよくするための実践を、単なる経験談や一過性のイベントで終わらせず、言語化・検証・共有可能な知見として整理し、現場に還元する研究であると整理できます。中心にあるのは、現場への貢献です。高等教育論や高等教育研究が大学教育を対象に理論的・分析的に扱うのに対して、高等教育開発研究では、「開発」という語が示すように、新しい方法・仕組み・ツール・プログラムを考え出し、実用化し、教育改善につなげることが重視されます。そのため、高等教育開発研究は、研究者が外部から現場を観察するだけの研究ではなく、研究者自身が教育実践のフィールドに責任をもって関わり、その実践を改善しながら知見を生み出す研究として特徴づけられます。授業、プログラム、カリキュラム、FD、学習支援など、身近な実践を出発点にしながら、「学生が成長した」という事実の背後にある要因を明らかにし、それを他の現場でも参考にできる形にしていく営みだといえます。

 一方で、実践を研究にする際にはジレンマもあります。実践の新奇性や珍しさを追いすぎると、一過性のイベント報告にとどまり、研究としての蓄積になりにくいものです。他方で、研究の作法を強く求めすぎると、実践者が発信しにくくなります。したがって、高等教育開発研究では、厳密な論文だけでなく、報告、口頭発表、ラウンドテーブルなど多様な発信形式を活用しながら、実践知を段階的に研究知へ高めていくことが重要ではないでしょうか。

 結論として、高等教育開発研究は、実践を出発点とし、そこから得られた知見を研究として整理し、再び教育現場の改善に返していく循環的な営みです。単なる調査研究でも、単なる実践報告でもなく、「高等教育をよりよくする」という目的に向けて、実践・研究・開発を接続するところに固有性があるとまとめられます。

 

【テーマ2】これからの高等教育開発研究を考える

 これからの高等教育開発研究は、査読付き論文だけを到達点とするのではなく、実践・研究・開発・発信・組織変革をつなぐ、より広い営みとして展開していく必要があると整理できます。

 第一に、今後の重要課題として、生成AIを高等教育開発研究にどのように取り入れるかが挙げられています。生成AIは、論文執筆の補助にとどまらず、ワークショップ設計、シラバス作成支援、授業改善支援など、教育開発そのものを支えるツールになり得ます。その意味で、生成AIを「研究対象」とするだけでなく、開発を進めるための方法・環境・支援装置として活用する視点が求められます。

 第二に、教育開発を進めるための組織の在り方についての研究も求められます。教育開発を進めるためには、教員そしきおよび職員組織が機能する必要があります。一方で、これまでの教育開発は研修や同僚性に基づく開発に関する研究が中心で、教育開発の基盤となる組織についての研究は十分とは言えません。少子化や学生の多様化が進み、大学そのものが淘汰されていく時代において、これからの社会に求められる高等教育を実現するための組織づくりについて考えていく必要があります。

 第三に、高等教育開発研究の成果発信は、論文中心から多様な形式へ拡張していく必要があります。ICEDの発表形式にも、PaperやPosterだけでなく、Workshop、Collaborative Space、ICED-Talksなどがあるように、実践を共有し、対話し、共同で知見を深める形式も重要です。これは、大学教員の業績評価を論文偏重から見直し、実践的・開発的な貢献を正当に評価する文化の形成にもつながります。

 第四に、個別の実践研究だけでなく、JAEDとして組織的・共同的な調査研究を進める可能性も示されています。たとえば、学習支援の全国的・網羅的調査や、アドバイジング関連団体など他学協会との連携が考えられます。個々の実践知を蓄積するだけでなく、学会としてテーマを設定し、国内外に向けて日本の高等教育開発の特徴や事例を発信していくことが期待されています。

 第五に、今後の高等教育開発研究を支える基盤として、実践者が互いに学び合い、実践を研究化していくコミュニティの重要性が指摘されています。授業改善や学習支援の実践を、どのように改善し、どのようなデータを集め、どのように報告や論文にしていくのかは、個人が悩みやすい問題です。そのため、実践者が相談し、試行し、発表し、フィードバックを得られる場をJAED内外に形成することが重要です。

 結論として、これからの高等教育開発研究は、個々の実践を研究へと高めるだけでなく、実践者コミュニティ、他団体、国際会議、生成AIなどを結びつけながら、高等教育を改善する知と仕組みを共同でつくっていく方向へ進むべきであるとまとめられます。つまり、今後の高等教育開発研究は、単なる「研究成果の発表」ではなく、高等教育をよりよくするための知識生産・実践支援・組織変革を一体的に進める開発的研究として展開していくことが求められます。

 

 

最後まで残った12名で記念撮影

 

<参加者アンケートより(一部抜粋)>

・「ジャーナル、博士論文、実践の視点、と報告者のお三方から様々なお立場でお話いただけたので、面白かったです お話を聞くだけでなく、ワークショップ形式でアイデア発散の機会もあり、とても密度の濃いあっという間の2時間でした」

・「ご発表の内容が、全体的傾向や個別の研究など多方面からの指摘があって、自分の中で整理しやすかった。」

・「実践から論文、研究へとつなげるときにいつも生じる悩みや葛藤に対してアドバイスを得ることができた。」

・「新しいアクションのきっかけが得られ、やる気もアップした。」

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