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2016年度
​活動報告

科研中間報告会

 

    1月22日成大学6号館にて科研中間報告会を行った。帝京大学加藤氏、聖心女子大学杉原氏によるFDプログラム認証の実践的課題について、発表いただいた。英国の専門団体(SEDA)における認証活動の具体的事例について、活動のねらいや位置づけ、認証する際に必要な手続きなど講義を行った上で、弊団体に落とし込んだ際に、実現可能なプラン案への提案も行った。

 次に、東北工業大学中島氏より海外専門家団体との共同開発・共同実施によるグローバルなFDプログラムの開発と実践について発表いただいた。米国の大学におけるカリキュラムの編成や実施に携わる専門家(ミドルレベルのFDer)の職務及びその職務を遂行するにあたって必要とされる専門性、その専門性の陽性課程について明らかにするという目標のもと、実施した調査に関する報告であった。

 最後に、広島大学の佐藤氏からは、FD専門職団体による倫理規定の基礎調査にご報告いただき報告会は幕を閉じた。

第2回JAED研究会

「未来の大学教育、大学教員、FDを予測する」

​於:大阪大学

    12月10日、大阪大学豊中キャンパスで、本会の第2回研究会を開催した。テーマは「未来の大学教育、大学教員、FDを予測する」で、2030年頃の大学教育、大学教員、FDがどのようになっているかを予測するものだ。シンポジストには、北陸大学学長補佐の山本啓一氏、NPO法人NEWVERY理事長の山本 繁氏、ミネルバ大学日本連絡事務所代表の山本茂樹氏を迎えた。


    まず、北陸大学の山本氏が「大学進学率と社会変動~ユニバーサル化のその先へ」と題して講演した。現在の大学では、リテラシー(思考力・判断力・表現力)とともにコンピテンシー(主体性・多様性・協働性)を育成することが求められているとして、これらに知識・技能を組み合わせたものが「学力の3要素」であるとした。コンピテンシーも学力であると定義したうえで、同大学でこのコンピテンシーを評価する入試を開発。コンピテンシーの評価には、自己評価を行うことが最も適当であり、この入試の結果から、コンピテンシーは評価可能であると結論付けた、と述べた。
    次に、NEWVERYの山本氏が講演した。山本氏は、2030年のメガトレンドの予測として、大学業界全体としては、専門職業大学への転換を含めて理系にシフトし、特にヘルスケア、IT、デザイン・クリエイティブ領域が拡大するだろうと述べました。また、広告やイメージで受験生が集まる時代は終焉し、教育力の勝負になるだろうなどとした。
    最後に、ミネルバ大学の山本氏が、「高等教育の未来~ミネルバ大学の紹介」と題して講演した。ミネルバ大学は、2014年9月に開校した全寮制の4年制総合大学だ。学生の78%が留学生という国際性に富む環境で、4年間で7つの国際都市で学ぶ。これらの都市では、クラスメイトと共に居住するだけでなく、現地の企業、NPO、行政機関、国際研究機関でのプロジェクトやインターンを行う実学重視のカリキュラムを採用している。
    山本氏は、こうした授業を通じて、これからの世界で必要と考えられている、クリティカル思考力、クリエティブ思考力、プレゼンテーション能力、対人(物)コミュニケーション能力を鍛えていると説明した。
その後のパネルディスカッションでは、最初に本会の佐藤浩章副会長が「2030年に生き残る大学教員の4類型」と題して大学教員やFDの未来を予測。人工知能や仮想現実などにより、多くの仕事が劇的に変化することを述べたうえで、大学教員も4つの類型に収斂していくのではないか。すなわち、①全国トップクラスのスーパー講師、②アクティブラーニングを促すファシリテーター、③社会と大学をつなぐコーディネーター、④面倒見の良い学習コーチ、である。また、求められる能力とその育成法として、新任教員のFD研修必須化、教授能力証明の必携化が一般的になるだろうと述べた。
    同じく本会の川島啓二理事のコーディネートの元、フロアからの質問も受けつつ議論を行った。質問には、具体的にどのようにして大学を変えていけるのか、小学校から大学までセットで変えていかなければならないのではないか、「研究」はどうするのかなど、「現実」をどのように変えていくかに関心が高かったようだ。
    更に、未来は予測困難であるから、予測をするよりもどんなことにも柔軟に適応していくことが大事なのではないかといった意見が出され、それを引き継ぐ形で、最後に、不確実・不透明な未来だからこそ、それを自分が作り出す側になり、複数のシナリオを作る。さらに実践が失敗してもへこたれないことが重要だ、あるいは、大学改革は人のせいにはしない、つまり腹をくくることが重要だと締めくくって閉会した。

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