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2017年度

​活動報告

第5回JAED研究会(​於:アスニー山科)

    11月3日、アスニー山科にて、本会の第5回研究会を開催した。2名の報告者を含めて11名が出席し、充実した報告(各40分)とディスカッション(各30分)が行われた。


    まず、桑木康宏氏(株式会社学びと成長しくみデザイン研究所代表取締役)から、「教育の質保証に向けたシステム開発~地方を支える中堅人材育成を目指して~」と題して報告いただいた。数々の大学の教育の質保証支援に向けたシステム開発と、質保証の具体的な仕組みづくりの進め方について、事例を交えながらお伝えいただいた。単位取得は量的水準を満たしていることを示しているが、質的水準をいかに担保するかが重要。教員の客観評価と学生の自己評価のGAPを学生自身あるいは教員自身が視覚的に把握でき、学習支援などの面談に活かせること。学科全体を質保証に向けて動かしていくためには、「人材育成の構想」を学科全教員で承認する必要があること、科目にサブタイトルをつけることで、科目とディプロマポリシーとの関連付けをイメージできるようにすることなど、多くの示唆をいただいた。報告後のディスカッションでは、マクロやミドルレベルの仕組みを整えるだけでなく、ミクロレベルの授業力をどう高めていくのかが課題といった視点が話題になった。

 

    続いて、佐藤浩章氏(大阪大学 全学教育推進機構教育学習支援部 准教授)から、「世界のFD最新状況」と題して報告いただいた。世界のFD専門家団体の連合であるICEDの大会の中で議論されていること、そしてその中でもインパクトに残っていることについて講演いただいた。アフリカにおいては、高等教育進学率を高めようと努力されている一方で、大卒と高卒で給与が変わらないことなどから高等教育への不満が噴出していること。またカリキュラムの脱植民地化、知識の脱植民地化について議論されていること(ただし脱植民地化という言葉の用い方については異論があること)これらがアフリカだけでなく、各国の高等教育の課題にも通じるところがあるのではないことなどが取り上げられています。また、中国におけるFD専門家団体も立ち上がり、国家主導で大規模な活動が展開され始めていることが紹介されました。さらには、SoTL(教育実践を研究に昇華し、社会を良くしていこうとする運動)の広がりについても話題に上った。

    最後の総合討議では、卒業研究におけるFDや質保証について、そして教養教育のあるべき姿についてなど、大きな話題が展開され、尽きない議論となった。閉会後は前回と同様、Food & Drink を楽しんだ。

第4回JAED研究会(​於:国立教育政策研究所)

    平成29年11月2日に国立教育政策研究所において、ミドルセックス大学客員教授で元SEDA会長のジェームズ・ウィズダム氏を招き、"The Professionalizasion of University Teaching"というタイトルで講演を行っていただいた。

    英国における大学教員や教育・学習支援にかかわるスタッフがどのように専門職化していったのかの経緯や現在の動向について、高等教育コンサルタントとしての経験をふまえて2時間にわたり講演いただいた。

JAEDメンバー4名および外部からの3名を加えた7名の参加者があり密度の議論がかわされた。

 

 

タイトル:The Professionalization of University Teaching(大学教育職のプロフェッショナル化)    

日時:平成29年11月2日 14時ー16時

場所:国立教育政策研究所 第2特別会議室

講演者:ジェームズ・ウィズダム氏(ミドルセックス大学客員教授、高等教育コンサルタント、元SEDA会長)

参加人数:7名(JAEDメンバー4名、外部者3名

第3回JAED研究会(​於:京都大学)

  7月21日、京都大学吉田泉殿にて、第3回研究会を開催しました。2名の報告者を含めて13名が出席し、充実した報告(各30分)とディスカッション(各40分)が行われた。


  まず、山田剛史氏(京都大学 高等教育研究開発推進センター 准教授)から、「データを用いた教育開発の進め方」と題して報告いただきました。京都大学におけるe-ポートフォリオづくりや、データの活用、センターWEBサイトの更新状況について簡単に説明いただき、データに基づく教育開発の要諦について解説いただいた。中でも、データが改善につながるまでのプロセスを図解した「データに基づく教育改善の媒介モデル(思案)」は、参加者各位の大学がどこで躓いているかを理解するうえで有益という意見が上がった。また学生調査は、ラーニングアウトカムズを問うよりも、学生の意識や態度について明らかにする方向で用いられるようになり、リテラシーやコンピテンシーに関わるラーニングアウトカムズについてはポートフォリオ評価やパフォーマンス評価がより重要になってくるであろうことが示唆された。また新しいデータを収集することだけにこだわらず既存の教務データを活用することの重要性も述べられた。特にデータありきで調査分析をするのではなく、最初にIRの核となるリサーチクエスチョンを各部局とも相談して明確にし、それから分析するという進め方を推奨された。最後に、データを教育改善に活かすための人材に求められる資質についても思案が提示され、FD担当者と何が異なるのか(そもそも異なるのか否か)についても議論が交わされた。

  続いて、根岸千悠氏(大阪大学 全学教育推進機構教育学習支援部 特任助教)から、「大学院生の教育力をいかに高めるか」と題して報告いただいた。大学院生の教育力を高める活動(以下、プレFD)について米国と日本における展開過程を整理した後、大阪大学のプレFDの取り組みを紹介いただいた。事例紹介だけでなく、模擬授業と実習授業の検討会における発話分析の結果の違いについても提示され、実習授業の方が、学習者に関する視点が広がり、学習環境や評価、カリキュラムに関する視点が獲得されたとのこと。最後に、3つの論点が示された。1つ目は、TA制度との連携をいかに進めるか。TAは教員の授業を支援する役割を持ちますが、TA自身が教育に直接的に関わることがしがたい現状をどう打開していくかが課題だ。2つ目は、専門内容を教えるための知識(PCK)をいかに修得させるか。これはプレFDだけでなく、FD全体にいえる課題だ。参加者のディスカッションでは、専門内容を評価するための課題をいかに共有するかという議論に発展した。語学において統一問題を導入することによって教員間の教育力差が明らかになる一方、試験問題対策という安きにながれてしまう危険性もあり、試験の統一も一長一短であるとの結論になった。3つ目は、プレFDによって研究が阻害されないかという問題。主査としては、研究することに時間を割いてほしいと考える(もちろん本当に研究に集中しなければいけない院生もいる!)ため、プレFDが研究を阻害しない、あるいは逆に研究にとってもプラスであること(バージニア大学の事例研究等)を示していくことができれば推進しやすいであろうことが示唆された。

  以上のように、内容の濃い報告に基づいた絶えることない活発なディスカッションがなされ、あっというまに3時間を経過、研究会は盛会のうちに終了した。閉会後は近くのイタリアンレストランを(結果的に)貸切って、Food & Drink を楽しんだ。

(以下の写真は当日の様子です。)